最近は、国民の健康意識の高さを反映してテレビや雑誌など各種メディアからいろいろな健康関連情報が発信されています。その一方で、テレビの健康番組でデータ捏造が発覚したり、専門家からみると科学的にずさんなデータが使われていたりと、その信憑性や信頼性に疑問があるのも事実です。
多くの国民にとっても、このように情報が氾濫する中で何を信じていいのか迷うことが少なからずあるのではないかと思います。薬剤師の皆様からすれば当然のことでしょうが、通常、科学的なデータを示す際には、そのデータの信頼性がどのように確保されているのかがまず提示され、それが第三者的にみて客観的な結果か公平な判断かということが議論されます。
実際の薬剤の使用方法においても、以前は医師の経験によるいわゆる「さじ加減」的な部分が重視されていましたが、最近では、何百あるいは何千例という大規模な試験データから示されたエビデンス医療(客観的な証拠データに基づく治療)という考え方に変わってきたという例があるように、客観性や信頼性が重視されています。
一般的に、疫学調査のような大規模試験は信頼性が最も高い部類とされ、続いて特定の条件で絞った中規模の試験、さらに小規模な試験、数例でのデータ、と信頼度が順次変わり、また、例数が少ないからといって一概に不正確といういうことではなく、その他の試験デザインによっても信頼性が異なってきますが、データを見る際にこのような視点が有るか無いかで解釈に大きな違いが出てきます。
しかしながら、そのような視点やデータの見方を伝える努力をせずに、一見興味を引くような良さそうなデータを一方的に提示するという事例がまかり通る現状を、私はとても残念に思います。
この状況を改善するためには、専門家が正しい情報を適切に伝えることや、行政サイドや医療サイドから啓蒙活動や情報提供を積極的に展開することが非常に重要となります。私は柏市薬剤師会の顧問をしておりますが、是非、ここに薬剤師の皆様の知識と見識を大いに活かしていただければと願う次第です。


